「金利、上がってるらしいですよね。うちももうやめようかな……」
最近このご相談をいただくたび、金利の数字だけで家づくりをやめてしまうのは、もったいないと、私はいつも思います。
もちろん金利は大事です。大事だからこそ、隠さず、いちばん正直な数字からお伝えします。その上で、金利が上がった今だからこそ「建ててよかった」と思える理由が制度のタイミング、固定金利の安心感など様々あります。
家づくりのゴールは「もっとも安く買うこと」ではありません。「この家族が、この先10年、50年をどこでどう過ごすか」を選ぶことです。金利はその選択の一部であって、全部ではないと私は考えます。
【2026年9月時点】まず、いまの金利を正直にお伝えします
| 商品 | 金利(最頻値) |
|---|---|
| フラット35(全期間固定・9割以下) | 年3.460% |
| 変動金利(メガバンクの最優遇水準の例) | 年1.245%(借り換え・2026年9月借り入れ分) |
フラット35の年3.460%は、現行制度が始まってからいちばん高い水準です 。変動金利との差は2.23%に広がっています 。今後の長期金利は、2026年度平均2.64%程度、2027年度平均2.75%程度との予測もあります 。なお、金利は今後も変動します。ここで挙げる数字は2026年9月時点のものであり、実際のご契約時には変わっている場合があります。
制度が手厚い「今」だから動きたい
金利が上がったぶん、国の制度は一気に手厚くなりました。
【住宅ローン控除】
- 適用期限が5年間延長:入居日が令和8年1月1日~令和12年12月31日までなら適用されます
- 控除率0.7%、控除期間は新築原則13年
- 子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が大幅アップ:新築では解説記事で「最大5,000万円」と案内される水準に引き上げられました 。
- 中古(既存住宅)も強化:子育て世帯・若者夫婦世帯は2026年入居から限度額の引き上げがあり、省エネ性能の高い中古住宅は控除期間13年への拡充も含めて支援が拡大しています。
補助金も、現金で受け取れる仕組みが動いています。
- GX志向型住宅(新築):最大160万円/戸の補助
- 受付状況(2026年9月11日時点):GX志向型住宅は第2期受付中で、予算750億円に対し申請額は56%。長期優良住宅・ZEH水準住宅は予算1,450億円に対し29%と、まだ申込スペースがあります。
- ただし期限あり:注文住宅の新築(ZEH水準住宅)の第2期交付申請受付は2026年9月30日までです。
つまり、「金利が高い今」は、「控除がいちばん大きく、補助金がまだ間に合う今」でもあるんですね。制度を考えると、「金利が下がるまで待つ」と「制度が手厚い今を利用する」このふたつの選択肢を並べて比べないといけませんね。
なお、次回以降の入居については省エネ基準への適合が必須化されていく方向です(建築確認が令和10年以降の住宅は控除の適用対象外。登記簿上の建築日が令和10年6月30日までは適用対象)。これも「今建てる住宅の性能水準」が、ちょうどいいタイミングに乗っていることを意味します。
固定金利の考え方
金利上昇局面で一番つらいのは、実は「先が読めないこと」です。でも、全期間固定なら話が違います。
フラット35の年3.460%を選べば、この返済額が35年間、変動しません 。
「毎月の支払いが35年間変わらない」って、ものすごいことなんですね。
- 食料品や光熱費が値上がりしても、住宅の返済は増えない
- 将来、金利がさらに上がっても、私たちの家計だけは今日と同じ
金利が下がるのを待つなら、その間の家計は「いつ支払いが増えるかわからない賃貸」に置かれたままです。でも固定金利で建てれば、上がった金利を「今」のうちに確定させて、35年ぶんの安心に変えることができる。
税制優遇を利用する
親御さんからの援助を受けられるご家庭は、住宅取得等資金の贈与税非課税特例が使えます。
- 省エネ等住宅:最大1,000万円まで非課税(それ以外の住宅は最大500万円)
- 適用期限:令和8年(2026年)12月31日まで
この制度、実は「借入額そのものを減らす」仕組みとして、金利上昇に対するいちばんの矛先になるんです。1,000万円の頭金があれば、借入は4,000万円から3,000万円に減る。金利が3.46%でも、かかる金利は3,000万円ぶんだけです。
「親に頼むのは、ちょっと」と気を遣うお気持ちもわかります。でも、この1,000万円の非課税枠には期限(2026年12月31日)があります。親御さん自身も、この制度を知らないことが多いので、非課税で資金移動ができる「最後のチャンス」として、家族会議の議題にしてみてはいかがでしょうか。頼みにいくというより、「使える制度を知っているか、お話しする」場にしていただければと思います。
まとめ
正直、金利は上がっています。しかし、家族のタイミングが揃うのが「今」とあれば、手厚い制度を利用する事で、家づくりのきっかけにされてみてはいかがでしょうか。

