最近の打合せで「バルコニー」を希望されないお客様が増えているように思います。
10年ほど前であれば2階建て以上の家であればバルコニーを作るのが当たり前という感じでしたが、年々バルコニーを作る人は減ってきているんですね。
では、どうして「バルコニーがいらない」というお客様が増えているのでしょうか?
また、バルコニーは本当に必要ないのでしょうか?
バルコニーを必要としない方が増えている理由
バルコニーは家に必ずしも必要な物という訳ではありません。
たとえば平家の家であればバルコニーはありませんし、バルコニーが無くて不便という訳でもないですよね。
2階建て以上の家だと何となくバルコニーが有るのが普通のように感じてしまいますが、それを1回リセットして本当にバルコニーがあなたに必要かどうか検討するところがスタートなんですね。
その結果、「バルコニーはいらない」という結論を選ぶ方が増えています。
バルコニーの有無を決めるポイント
① 洗濯物や布団の干し方
ひと昔前は、洗濯物や布団というと庭やベランダに干すというケースがほとんどでした。
今ほど、ドラム式洗濯機や乾燥機は普及していませんでしたし、室内干しするための間取りでも無かったので、多くの家庭が外に干すという一択だったんですね。
でも、今は乾燥機を使う事も多くなりましたし、共働きといった生活スタイルや花粉対策などで室内干しや布団乾燥機を使うというのも普通になっています。
このように、昔よりも選択肢というのは増えているんですね。
その上で洗濯物や布団の干し方をどうするか。
その結果、バルコニーに干す場合はバルコニーの価値は高くなりますし、バルコニーはほとんど使わないという場合はバルコニーの優先度は低くなるんですね。
②バルコニーにプラスαの価値があるかどうか
バルコニーは洗濯物を干す以外にも、庭のように使ったり眺めを楽しみながらくつろぐスペースにするなど、プラスαの価値を付けることもできます。
たとえば2階リビングであればバルコニーは必要な存在ですね。
2階リビングの横にゆったりしたバルコニーを作ることで庭のように使う事もできますし、リビングもより広く感じることができるんですね。
さらにはバルコニーなので道を歩いている人や周りからも見えにくく、よりプライベート感が出るというのも大きな魅力です。
敷地的に家を広くできない場合でもバルコニーを作ることで広く見せることができます。
バルコニーを作ることで土地をより活かすことができます。
このように、バルコニーがより活きる間取りや敷地の場合、必然的にバルコニーの価値というのは高くなるんですね。
「あれば多分使う」くらいだと、結果的に使わなくなってしまう事が多いからなんですね。
その他、年に1回くらいの行事、「たとえば花火が見えるから広いバルコニーが欲しい」というのも普段は使わないバルコニーになりがちです。
年に1回の行事ではなく、日常使いとしてこの土地を活かすにはバルコニーが必要かと思えるかどうかが重要なポイントですね。
③バルコニーの掃除、メンテナンス
バルコニーは外なので、基本的に結構汚れます。
土やほこりが飛んできて、放っておくとすぐに汚れが溜まってしまうんですね。
この掃除をどれだけ手間に感じるかどうかも、バルコニーで検討しておきたい部分です。
また、バルコニーは10年に1回はメンテナンスが必要な場所になります。
紫外線に晒されている場所なので劣化しやすく、放っておくと雨漏れの原因になるからなんですね。
バルコニーは作って終わりではなく、家と一緒にずっと付き合っていく場所です。
掃除やメンテナンスを苦に感じず、愛着を持てるかどうかというのもポイントなんですね。
④使いやすいバルコニーかどうか
バルコニーは作り方で使いやすさというのは変わってきます。
バルコニーの奥行きに少しゆとりがある方が使いやすくなります。
バルコニーを作る場合は空いたスペースにただ作るのではなく、より使いやすいバルコニーにできるかどうか。
間取りを見て使いにくそうだと感じる場合は、2階の間取りに手を加えてバルコニーの形や場所を変えるか、バルコニーを無くしてみるというのも効果的です。
⑤バルコニーの無い間取りのポイント
バルコニーが無いということは洗濯物は室内干しにするか庭に干すということになります。
そして洗濯物と言うと南側の陽の光が当たる場所に干すという印象が強いですが、実は洗濯物を乾かすのには日光はそれほど必要ありません。
適度な風と湿度を除去する事ができれば、洗濯物は問題なく乾いて衣類にも優しいからなんですね。
洗濯物を日光に当てすぎると衣類の劣化が早くなるという側面もあります。
室内干しをする場所では、除湿機と扇風機を組み合わせて使えるようにしたり、エアコンを付けられるようにしておくのも効果的です。
また、洗面室を室内干しスペースと併用するケースもありますが、洗面台を使う時やお風呂に入る時に邪魔にならないようにするのも重要です。
その他、室内干しスペースの近くにクローゼットを併用するのもいいですね。
あとは、敷地が広い家であれば水回りに近い庭に干す間取りというのも便利なものです。
基本は水まわりから洗濯物を干して収納するまでいかにスムーズになっているか。
この辺りは間取りで確認しておきたいポイントになります。
まとめ
バルコニーはいる・いらないという意見が色々ありますが、家に住む人や家を建てる土地や間取りによってバルコニーの価値というのは大きく変わってきます。
そこを踏まえた上で、バルコニーの優先順位はどれくらいなのか。
その結果、「バルコニーが必要」なのか、それとも「バルコニーはいらないのか」が決まってくるんですね。
当たり前のようにバルコニーを作るのではなく、まずはお客様にとって必要かどうか検討してみる。
そしてバルコニーを作る場合はより価値の高いバルコニーにできるかどうか、反対にバルコニーがいらない場合は洗濯動線と家の外観をどれだけ上手くまとめられるかがポイントになってきます。
そうすることで、より価値の高い家にする事ができるんですね。