住宅設備や建材もプロが使用する製品と全く同じ製品をネットで注文することができ、場合によっては価格が安い場合もあります。ネットで購入したものを自分の住宅工事に使用したいという要望も増えてきています。
そこで最近ご希望の多い「施主支給品」で、住宅会社や工務店とのトラブルを防ぐために、知っておきたいポイントをご紹介します。
施主支給をする商品の見極め
価格が安いからと言って、何でも施主支給にするのはおススメできません。特に水回り商品では、給水、排水、電気などの接続が必要になる商品がほとんどですし、例えば水漏れなどが発生した場合、商品不良なのか、施工不良なのかの判断がつきにくい場合も多く、トラブルになりやすいことや、設置をすれば完了という商品は非常に少ないため、施主支給をする商品という意味では不向きです。
購入は簡単にできますが、設置は誰がどのように行うのか、設置のための下地などの準備はどのくらい必要なのか、別途の取り付け費用はどのくらい掛かるのかなど、住宅会社や工務店の担当者と綿密な打ち合わせが必要ですし、会社によっては施主支給を全てお断りしている場合もあります。
「施主支給」が可能だという前提ではなく、まずは住宅会社や工務店の担当者にそもそも「施主支給」は可能なのか?可能だとしたらどのような商品であれば受けてもらえるのかを最初に確認することが肝心です。
また、主に建築材料を製造している正規の大手メーカー品であれば問題は少ないですが、ネットショップだけで販売されているような商品は、固定するためのネジが付属していないとか、商品が届くまで設置方法が分からない商品もあります。支給する商品を選定する際には、そのあたりも注意しながら決めましょう。
組み立てが必要な商品の場合
搬入のしやすさを考慮して、テレビラックや収納棚、食器棚などの商品は、バラバラのパーツで構成されており、完成品として届く可能性は低い商品となります。
つまり設置をする前に、まず組み立てをしてからということになるのですが、多くの住宅会社や工務店では、取り付け工事はするものの組み立てまではしない会社も多いです。
基本的に商品の組み立てはお施主さまにしていただくことになりますので、施主支給をしたい商品が、完成品なのか?組み立てが必要なのか?を確認しておく必要があります。
商品の発注や受け取り
施主支給の商品の発注時期や納入時期については、住宅会社や工務店の担当者と細かな打ち合わせが必要です。発注時期については、その商品の納期から逆算して発注を行う必要がありますし、また納品される商品の受け取りについては、基本的に発注されたお施主さまになりますので、納入日には納入場所(主に新築現場)で受け取りをしていただく必要があります。
「現場に誰かいるでしょ?」と思われるかも知れませんが、受け取っても良いものなのか、また発注した商品で間違いがないか?や破損については、発注者であるお施主さまにご確認をしていただかなくてはなりません。
配送会社によっては、受け取った時点で、商品に間違いがないこと、梱包などに凹みや衝撃の加わった痕跡のないことを確認の上、受け取りを行い、受け渡し完了後については配送会社としては責任を負わないという会社もあります。
到着時間指定の出来る配送会社もあれば、「午前中」や「当日中」などの指定しかできない場合もありますので、いくつもの施主支給品を使用する場合には、何度も納品場所へ足を運んでいただくことになります。
極めつけは「車上渡し」です。配送会社は「車上渡し」が基本です。トラックから荷物を降ろしたり、運び入れたりするのは配送会社のドライバーの仕事ではなく、指定の場所まで運ぶのが仕事(慣れないドライバーが商品を運ぶことで、傷付けたり落下させたりするのを防ぐため)ですから、大型商品や重量商品を施主支給にする場合は、特に注意が必要です。
保管について
施主支給の商品の保管場所や方法についても注意が必要です。現場内が工事材料で一杯になり、職人さんの作業がやりにくくならないように、必要な材料を必要な時期に、必要な量だけ搬入されるように現場監督がコントロールをしています。
取付のタイミングに間に合わないと困るので、早めの時期に発注をしていただくのは良いことなのですが、まだまだ使わない商品が現場に長期間、置きっぱなしになってしまうのは、汚れや破損の危険性を高めてしまいます。
職人さんたちは、自分が作業をしなければならない場所に材料があると、仕事がはかどらず困ります。場合によっては、しばらく使わないなら一旦現場から引き揚げて欲しいと要望されることもあるくらいです。
納期指定のできない商品などは、必要な時期までご自宅で保管をしておいていただかなくてはならない可能性もありますので、注意をしてください。
商品の保証について
基本的に、どこの住宅会社や工務店でも、施主支給された商品の保証や支給された商品に起因する不具合や損害については保証がありません。
そのため、商品の取り付けのみを住宅会社へ依頼されていた場合、届いた商品に傷があったり正常に作動しない時に、商品に問題があるのか?それとも取り付け方法に問題があったのか?でトラブルになるケースがあります。また場合によっては、工事が完了しないために、引き渡し日が遅れてしまう場合もあるかも知れません。
お施主さまとしては、「商品は用意するので取付はしっかりとお願いしますね」という思いで依頼されることと思いますが、万一の時のリスクも承知の上で施主支給をするのか、しないのかの判断が必要になります。
まとめ
何でもネットで購入することができる便利な世の中になりました。住宅工事で使用する建築材料についても例外ではありません。
ネットで購入すれば、たしかに見かけは安く購入することができるかも知れませんが、商品や取付工事について、住宅会社や工務店から保証を受けられないリスクがあることも事実です。
ネットで購入する場合の費用と、住宅会社や工務店から同じ商品を購入し取り付けてもらった場合の費用に、大きな差がある場合は悩みどころにはなりますが、住宅会社や工務店とよく相談しながら、メリットやデメリットを知った上で、総合的に判断するということが必要かも知れません。何か気になることがありましたら、遠慮なくご相談ください。