最近の住宅では高気密・高断熱を求めるあまり換気が不十分になり、めまいや頭痛、のどの痛みや吐き気などの健康被害が考えられます。
そこで健康や環境にやさしい材料として注目を浴びている珪藻土。
珪藻土とは?
珪藻土は代表的な左官壁ですが、左官の仕上げ材として使われ始めたのはごく最近です。
もともと珪藻土は、七輪やコンロ、耐火レンガなどの原料として焼いて使われ、保温や断熱性のある素材として知られていました。
手軽に左官仕上げの質感を楽しめることが注目を集め、自然素材の住宅として使用されるようになりました。
固化剤の発達によって水で練るだけで使えるようになり、超微細で多孔質の特性を活かした仕上げ材料として、壁や土間への施工が可能になりました。
物質としての珪藻土は、海や湖畔、水中に生息する植物性プランクトンの珪藻の死骸が海底や湖底にたまり、それが長い年月をかけて徐々に分解されて、最終的に二酸化ケイ素を主成分とした化石になります。
この珪藻の化石が長年にわたって堆積してできた粘土状の泥土が珪藻土なのです。
珪藻土の元になっている珪藻の殻には、ミクロレベルのとても小さな穴が数多く開いています。
珪藻土のメリット
(1)不燃機能
珪藻土は完全に無機質だけの組成のため、不燃で有毒ガスを発生しません。
1300℃で溶融しますが、着火・発煙はありません。
(2)断熱・保温性能
たくさんの粉体の微細孔が、空気層の役割を果たすことで、高い断熱性能と保温性能を発揮します。
(3)吸放湿・調湿機能
夏に暑く高湿度時には湿気を吸い、冬の寒く乾燥時には放出します。
土壁と同じように、湿気の吸収・放出を活発に行います。
人間にとって快適な湿度である40~60%を自動で保つので「呼吸する壁」といわれています。
(4)防露機能
調湿効果により、結露やカビの発生を防ぎます。
(5)遮音性能
珪藻土の微細孔が音を吸収するため、吸音・遮音効果が高まります。
(6)脱臭・吸煙機能
臭いや煙を吸着するので、脱臭・空気清浄機能があります。
臭い分子は空気中の湿気に溶けるので、湿気を吸収すれば臭いも消えるという仕組みです。
逆に湿気を出すときに臭いも放出されるのではないかという心配されますが、放出速度が極めて遅いので人間には臭わないのがよいところです。
(7)静電気を発生しない
静電気を帯びないということは、臭いや埃の粒子が付きません。
(8)ホルムアルデヒドを吸着し、再放出しない
珪藻土が持つ「多孔質」により水に溶けたホルムアルデヒドを調湿作用で吸着し、再放出しません。
(9)色が選べる
塗り壁になると色の選択肢が少なく感じられますが、珪藻土は数多くの色からお選びいただけます。
まとめ
このように珪藻土を住宅に使えば、お部屋を快適な湿度に保つことができ、断熱効果によって冷暖房効率がアップし、省エネにもつながりますね。
さらに暮らしの中で嬉しい機能(臭い、結露、カビなどを防ぐ)がいくつもあり、とても魅力的ですね。