「金利が上がっているみたいだけど、いま家を建てるのは大丈夫?」最近よくいただくご質問です。住宅ローンの金利タイプ選びは家計を最も左右する決断ですが、仕組みさえわかれば決して怖いものではありません。ここでは、変動・固定それぞれの仕組み、いまの実際の金利、金利が上がったら返済がどう変わるかの試算まで、順番にお伝えします。
そもそも「変動」と「固定」は何が違うの?
住宅ローンの金利タイプは、大きく3つです。
| タイプ | 仕組み | 向いている面 | 注意したい面 |
|---|---|---|---|
| 変動金利 | 市場金利の動きに合わせ、定期的に適用金利が見直される | 金利が最も低く、毎月の返済を抑えやすい | 金利上昇で返済額が増える可能性 |
| 固定金利期間選択型 | 2年・10年などの一定期間だけ金利を固定。期間終了後はその時点の金利で再設定されるのが一般的 | 当面の返済額が確定し、変動より低め | 固定期間終了後の金利が読めない |
| 全期間固定(フラット35など) | 借入から完済まで金利が変わらない | 返済総額が最初に確定し、家計計画が立てやすい | 3タイプの中で金利が最も高い |
「固定」といっても、全期間固定と固定期間選択型は別物です。固定期間選択型は「終了後の金利がその時点の水準で再設定される」ため、借入時の固定金利が続くわけではありません。
いまの金利は、実際いくら?(2026年11月時点)
2026年11月時点の主な水準は次のとおりです。
| 種類 | 金利(2026年11月時点) |
|---|---|
| 変動金利(最優遇) | 年1.195%〜1.525%(平均1.332%) |
| フラット35(新機構団信付き・融資率9割以下の最頻金利) | 年3.49%(団信なしの最頻は2.81%・団信ありは3.81%) |
| 10年固定 | 2025年8月から14か月連続で上昇中 |
変動金利とフラット35の金利差は2.48%に拡大。これは集計開始以来2番目の大きさで、「日銀の利上げ約10回分」に相当します。金利差が大きいほど「変動の安さ」は魅力的に見えますが、その裏には後述の「上がる可能性」があります。また、表面の金利だけでなく、事務手数料や団信の費用を含めた実質金利(変動なら約1.4〜1.9%)で比べることも大切です。
なぜ「金利上昇」が話題になっているの?
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました。これは約31年ぶりの高水準です。10月の会合では据え置かれたものの、次の利上げの可能性は「12月まで」が8割超と見られており、利上げ局面が続いているのが現状です。
変動金利はこうした政策金利の動きに連動して上がる可能性があり、いま「変動 vs 固定」が改めて注目されている理由です。
金利が上がると、返済は実際どうなる?
ここで、具体的な数字で見てみましょう。借入3,500万円・返済35年・元利均等返済(ボーナス返済なし)で、3つのケースを試算しました。
| ケース | 月々の返済 | 35年の総返済額 |
|---|---|---|
| A:変動 1.33% のまま(平均の金利が継続) | 約104,300円 | 約4,380万円 |
| B:変動が5年ごとに1%ずつ上昇(1.33%→2.33%→3.33%) | 約104,300円→119,500円→133,500円 | 約5,348万円 |
| C:フラット35 3.49% のまま | 約144,400円 | 約6,067万円 |
この試算からわかること。
- 金利が1%上がるごとに、月々の返済は約1.5万円増えます(ケースB)
- 変動がこのペースで上昇しても、総返済額(約5,348万円)はフラット35(約6,067万円)より約719万円少なく、この試算の範囲では変動が有利
- 一方、変動のまま金利がさらに上昇すれば差は縮まり、逆転の可能性もあります
- なお、フラット35との差は月々約4万円。「安心料として毎月4万円を払うかどうか」という考え方ができます
※この試算は一定の仮定に基づくものであり、将来の金利を予測するものではありません。お借入れの条件(優遇幅・手数料・団信など)によって実際の金額は変わります。
変動金利の「5年ルール」「125%ルール」って何?
変動金利を選ぶとき、必ず知っておきたいルールが2つあります。これは毎月の返済額(元利均等返済の場合)を守るためのルールです。
- 5年ルール:返済額の見直しは5年ごと。金利が上がっても、5年間は毎月の返済額が変わらないように配慮されます
- 125%ルール:5年後の見直しで、新しい返済額は前回の「1.25倍」までしか増えません
ただし、ここが最重要です。守られるのは「返済額」であって「利息」ではありません。金利が大きく上がって毎月の利息が返済額を上回ると、払いきれなかった分は「未払利息」として借入残高に加算され続けます。返済額が控えめなぶん、元金が減りにくくなるイメージです。金融機関によっては5年ルールを適用しない商品もありますので、契約前にご自身のローンの約定(条件)を必ずご確認ください。
私は、どっちが向いてる?
変動金利が向いている人
- 家計に余裕があり、金利上昇で返済が増えても対応できる
- 将来的に繰上返済や売却の可能性がある
- 金利の動向を自分でもチェックし、必要なら行動できる
全期間固定(フラット35など)が向いている人
- 総返済額を最初に確定させ、家計計画を崩したくない
- 今後も金利が上がる可能性に備えたい
- 長く住む家で、病気への備えなど団信プランも含めて選びたい
固定期間選択型が向いている人
- 当初は固定で安心したいが、変動ほどの金利の高さは避けたい
- 固定期間終了時に、繰上返済や借換で見直す計画がある
正解は人それぞれです。金利は「上がるから固定・上がらないから変動」という単純な予想ではなく、「返済が増えたときの家計の耐性」で決めるのが失敗しないコツです。
迷ったら「ミックス」という選択肢も
決めきれない場合は、変動と固定を半々で組む「金利ミックス」という方法もあります。たとえば3,500万円を「変動1,750万円+フラット35 1,750万円」で組むと、金利上昇時の衝撃が半分に抑えられる一方、金利が下がったときの恩恵も半分になります。「上がるか下がるかわからない不安」を分散させたい方に合った考え方です。
よくあるご質問
Q. 表の「適用金利」って、広告の金利と違うことはある?
A. 住宅ローンの適用金利は「基準金利(店頭金利)−優遇幅(引き下げ幅)」で決まります。優遇幅は契約ごとに異なり、給与振込やカード利用などの条件で変わります。基準金利は市場の動きで見直されるため、引き下げ幅が同じでも基準金利が上がれば適用金利は上がります。
Q. 金利が低い銀行を選べばそれでいい?
A. 表面金利が低くても、事務手数料や団信の費用を含めた「実質金利」で比べないと正しく評価できません。事務手数料が高めの金融機関・低めの金融機関がありますので、総額で比較しましょう。
まとめ
- 2026年9月に日銀が利上げ(政策金利1.25%、約31年ぶり高水準)し、利上げ局面が続いている
- 2026年11月時点で、変動は1.195%〜1.525%程度、フラット35は最頻3.49%。金利差は2.48%と大きく開いている
- 選ぶ基準は金利の高低ではなく、「返済が増えても耐えられる家計か」
- 5年ルール・125%ルールは返済額を守る仕組み。利息が返済額を上回ると未払利息が残る点に注意
昨今の情勢は金利上昇が騒がれておりますが、無理をする事なく自分たちのペースで家づくりを進めていかれる事をお勧め致します。迷った時にこそ、信頼して相談ができる人を探してみるのも、ゴールへの近道かもしれませんね。
